<ちょっと聞きづらいかもしれないこと>
1.はじめに
仲見の住んでいる地方も、とうとう、梅雨に入ったようです。そのせいだろうと思いますが、頭が痛くなったり、吐き気があったり、体調が芳しくない日がありました。普段から、うっかりしているのに、体調が悪いせいで、更に注意力散漫になりやすい季節で、日常生活の中では、だいぶ苦しい時が出てきます。
さて、先週の後半、Twitterの私のTLに、本記事タイトルに関する話題が流れて来ましたた。様々な方が「こういう時、どうしたらよいんだろうか、と非常に不安だった」とツイートされていました。具体的には、学会で発表をしようと申し込んみ、事務局に受け付けてもらったり、予稿を受理されたりして、決定していた登壇について、
・発表前に、事故に遭ったり、急な病気で入院することになったりした
・公募の審査を通過して、採用試験の面接が入った
(先方の都合で、日程をずらせないらしい)
等の(やむを得ない)様々な事情で、学会発表を取り止めないといけない時の対応について、です。梅雨から夏場は、寒暖の差が激しい日に加えて、湿気があるため、身体がついていけなかったり、緊張のし過ぎやストレスでダウンしたり…。
実は、私自身、こういった話題は研究室外で皆さん、どうされているのか、気になっていました。自分にはなかったことですが、先輩方にはアカデミックポストの就活をしていて、博士論文を書いている年度に、2つ目のケースが該当して、学会で発表する日時と面接試験の日時が丸ごと重なってしまったことが、あったと記憶しています。最初のケースは、身近には聞きませんが、根詰めて論文を書いている時、体調を崩してしまい、泣く泣く入院することも、研究者なら十分あり得る話だと思います。
申し込んでいた発表をキャンセルするというのは、判断が難しいこともあるようです。(日本の研究業界において、まだまだ、分野や個人によって、人間関係を重視したり、その中での体面や面子を気にしたりする方々がいることもあってか…。)
読書会や研究会、部会といった、学会より小さな単位の学術団体では、発表を輪番にしているところがあります。発表順を決める中で対応の仕方次第では、休んだ人の今後の研究者としてのキャリアに関わってくるかもしれない…。という、側面は否定できません。
そこで、今回は学会や研究会において、研究発表をすることになっていたのに、やむを得ずキャンセルする時のことについて、少し、考えてみたいと思います。
(既に、私自身、だいぶ緊張しております…)
2.学会の全国大会をキャンセルする場合
まず、数千人から1万人の規模の全国大会では、細かな分野ごとに分科会を設置して、それぞれ教室や会議室を会場にして、1つの会場ごとに登壇者が入れ替わり、立ち替わり、10~15分+質問3~5分程度で発表を回すスタイルがあります。この形式の場合、事前に発表キャンセルが分かっている場合、できるだけ早く連絡しましょう。私の知っている範囲のところでは、キャンセルする旨を丁寧にメールで書いて連絡すれば、事務局の方に穏当に対応して頂き、受理して下さるはず、です。
(万が一、余裕があれば、その学会に出席する隣近所の研究室の方々、同じ分科会で発表する予定の知り合いの方に、キャンセル・欠席の連絡をしておくと、親切だと聞いたことがあります)
気をつけるべきなのは、大きな学会の全国大会では、毎回、司会やタイムキーパーは発表者同士で回すシステムになっているケースがあること。そういう時、司会やタイムキーパーに当たっているけど、欠席する人は自分で代わってくれる人を探して、その手続きをしないといけませんでした。なので、なるべく、早い段階で代わりの人を探して、お願いしておき、大会後、きちんとお礼をすることが大切です。
私のいた研究室の先生は、「やむを得ないのは仕方ないけど、欠席になるならきちんと対応しましょう。そうしないと、事務局の方々に迷惑をかけます。それに、休んだ本人に対する評価は、低下するよ。連絡はきちんとしようね」とは、仰っていた気がします。
万が一、登壇予定の本人が傷病で生死の境をさまようレベルの危険な状態にあって連絡がつかなかったり、留学生の人でキャンセルの連絡メールを日本語で書くのに難があったりする時は、周りの人が把握していれば、サポートしてもよいと思います。
以前、とある学会内のイベントで、開催側であったうちの研究室では、某登壇者の方と連絡がつかなくなり、困ったことがありました(その方から、後で連絡が来たからよかったのですが)。
留学生の方のサポートは、いわゆる日本語の形式ばった業務メールを、TPOに合わせた書き方が難しい、という人がいます。頼まれたことのある私は、ある程度のひな型を書いて、転送したことがありました。
サポートだけでなく、キャンセル連絡のメールを送る時、書き方がよくわからないという方も含めて、次の拙記事をご参考になさってみて下さい:
「高校生から社会人、ポスドク、会社員、フリーランスの人も必見!手紙、メールから諸々のビジネス契約書を書く・読むの本まとめ 」 仲見満月の研究室
補足するとすれば、緊急の場合は、電話で連絡したほうがよいでしょう。
3.研究会や読書会、部会等をキャンセルする場合
学会よりも小さな研究会の場合が、難しいかもしれません。研究会や読書会、部会等では、輪番制をとっているところだと、発表の順番が自分にに回ってくることがあります。また、「うちの研究会で、発表してみない?公募の求人に、履歴書と一緒に出すK書類に、業績の一部として書けるけど、どう?」と、発表のお話を頂くこともあるでしょう。
自分の順番が来た時は、事前の準備ができますが、それでも予定が他の集まりと、トリプルブッキングした際、私は気管支のあたりを掻きむしりたくなるほど、苦しかったです(あと、泣きました…)。お誘いを頂いた時は、受けるか、受けないかは、財布の中身人間関係の間で、ものすごく、悩むとこが出てくるかもしれません。
いずれにしても、優先順位を上手につけられない人は、気をつけないといけないでしょう。院生の方には苦しかもしれませんが、優先すべき団体は自分の中で決めておいた方が、よいと思います。例えば、
・先に、発表のお誘いを頂いたから
・その団体に所属しているほうの期間が長いから
といった理由は、優先順位を高くする基準にできます。そして、参加できなくなった時や、発表の話をお断りするような時は、数週間前には連絡をして、事情を丁寧に説明すること。そして、埋め合わせは、します、と言うこと。
(件の先輩方が、キャンセルをされる時、気をつけたほうがよいと仰ってました)
ある読書会の幹事をしていた方によると、発表をお願いした電話で、お断りをされた時、ちょっと長い電話になったそうです。この件から、急ぎの場合は、メールより電話で連絡をしたほうが、適切な場合があると考えられます。
なお、こういった付き合いについて、私は今でもマメに対応できないところがあって、悩みすぎて、心が壊れそうになったことがあります。優先順位をつけるの、今も下手ですしね。どう義理を立てるとか、優先順位をつけるとか、そういった基準、付き合いの注意点は、内館牧子さんが『養老院より大学院』のに書いておられますので、読んでみてください。第6章の「社会人学生をやり、私は何を失ったか」のp.176~180は、特に必見だと思います:
内館牧子『養老院より大学院』 (講談社文庫)、講談社、2014年 [Kindle版]
4.最後に
だいたい、本記事のタイトルについては、書きました。「うー」と頭を抱えて、PCの前でうなっている方がいれば、少し、参考になればと思います。その上で、周りの人に質問してみたり、Twitterや質問箱で他の研究者の方にも相談したり、してみて下さい。あくまで、私とその周辺の人たちの話ですが。
それから、ツイートされている方もいらっしゃいましたが、どの人も完璧に対応ができる、というわけではないと思います。やむを得ず、発表をとりやめなければならない時は、緊張するとかもしれませんが、落ち着いて、丁寧に連絡をされてみてください。
余談としては、研究発表の頻度は年間、どのくらいがよいのか?というのがあるかと。人文系では、あまりに頻繁に発表しすぎても、「じっくり、論文を書いてないでしょ?」と、いい見方をされない分野もあるそうです。 このあたりの判断は、私のような境界分野で研究をしていた人、している人には判断は難しいと思います。今も、このあたりで悩んでしまいます。
機会があれば、分野ごとの学会発表回数は、実質的に年間何回までならできそうか、というあたり、書けたらと考えています。
おしまい。
0コメント